
学校の現場で教師が直面している課題は何か。国内外の中学・高校でスーパーバイザーを務める林純次さんは「同じクラス内に、認知できるようになることを目指す子と、暗記できるようになることを目指す子と、考え判断できるようになることを目指す子がいる。それぞれが無駄なく効果的な学習ができるとは考え難い」という――。
林純次氏の著書本稿『学校では学力が伸びない本当の理由』(光文社新書) ※本稿は、林純次『学校では学力が伸びない本当の理由』(光文社新書)を一部再編集したものです。 ■習得すべき3つの学力の要素 まず、現在の日本の学校における「勉強ができる」という表現をしたときの勉強内容を考えておきたい。
2008年に改訂された学習指導要領では、小中高いずれの校種においても「生きる力」が強調され、知・徳・体のなかで「知」については「基礎的な知識・技能を習得し、それらを活用して、自ら考え、判断し、表現することにより、さまざまな問題に積極的に対応し、解決する」(小学校)ものと具体化された。 これは、前年の2007年に改正された学校教育法(30条)に示された習得すべき三つの学力の要素を踏まえたものである。