
ハーバード大学はなぜ訴えられたか? 深刻さを増す米受験戦争
日本ではいま、東京医科大学の不正入試問題が世の耳目を集めているが、アメリカでも、大学入試に関して、大きな話題となっている裁判がある。アジア系アメリカ人に対して、入試審査で偏見があるとしてハーバード大学が訴えられている係争が、いよいよ法廷審理に入ることになったのだ。
これまで、さまざまな人種がハーバード大学を卒業している実態(オバマ前大統領はハーバード大学院卒)から、メディアは、それほどこの訴訟を大きく採り上げてはこなかった。しかし、入試審査のノウハウが他校に模倣されることを懸念して、ハーバード大学が証拠開示に硬直的な態度を示すと、突如として、社会の関心がこの裁判に向いてきた。
ルールの明確化とフェアプレーをなにより重んじるアメリカ社会のなかでは、アメリカの大学審査の「ブラックボックス」は異色の存在なのだが、いままでは社会との信頼関係でそこをつつかれることはなかった。神聖なる学府であり、社会に対して多様性を訴えているフロントランナーであり、人種差別がもっとも少ない組織がアメリカにあるとしたらそれは大学だと思われていた。 続き・・・