地方に多様性豊かな公立校を バカロレア日本大使・坪谷ニュウエル郁子氏が目指すもの!!

地方に多様性豊かな公立校を バカロレア日本大使・坪谷ニュウエル郁子氏が目指すもの

単位の扱い、文科省と交渉

――バカロレア教育の良さについては教育関係者に幅広い合意があると思いますが、日本の教育現場に浸透しにくい課題があります。難しいのは、日本の学習指導要領との両立です。日本の高校で、バカロレアのDPコースに進んでも、日本の学習指導要領で定められた科目もとらなければならず、両立はかなり大変だと聞きました。

私は、2012年にバカロレア機構のアジア太平洋地区の委員になり、現在はバカロレア日本大使を務めています。機構と日本政府の間に入って、この6、7年間、いろいろ調整や交渉をしてきていますが、即座に解決しないといけなかった問題の一つが、バカロレアの単位を日本の学習指導要領の単位と読み替えてもらうことでした。

DPは、すごく勉強量が多いです。教科書がない代わりに、授業前に読み込まなければいけない文献が多く、授業はプレゼンテーションやディスッションが中心です。家庭で膨大な下調べが必要なのです。日本は通常、理系と文系に分かれますが、バカロレアはリベラルアーツのような位置づけなので、文系も理系も、両方やらなくてはいけない。理系の子でも文系の知識がまったくない状態では、社会に出たときに最大限の力は発揮できないというのがバカロレアの考え方です。

文部科学省と交渉して、高校卒業に必要な74単位のうち36単位を、DPの科目で読み替えできるようになりました。日本の高校の中には2年生からDPをスタートしているところもあります。ただ、DPは、本来2年間のプログラムです。3年生の11月に試験があるので、1年半で終えなければなりません。生徒にとっては相当な負担になるので、1年生の3学期から始めるほうが望ましいと思います。

 ――読み替える単位をさらに多くしてほしいという要望もあるようです。

私もそう思います。でも、文科省に、36単位の読み替えを認めてもらうだけでも2年かかりましたから。次の新しい学習指導要領が実施される2022年が勝負で、もう少し読み替えを多くするよう頼んでいます。

 ――日本でバカロレアを推進するうえで、ほかにどのような課題がありましたか。

教員をどう養成するかですね。バカロレアは、日本の教師免許のように教える免許があるわけではありません。基本的には、その学校の主任の先生がバカロレアのワークショップを受けて、それをほかの先生方に指導する、ということで構わないのです。私は、これ以外にも、バカロレアの指導方法は教師にとって学ぶことが多いから、大学や大学院でバカロレアの受講コースができるといいな、と思いました。今、4つの大学や大学院でコースを開催しているので、そういうところで学ぶ方法もあります。

――日本の高校でDP資格をとっても、海外の大学に進学する学生はごく少数と聞きました。

アメリカの大学の学費は、年間400万円以上かかるケースが多いです。海外の大学に行きたくても、日本の学生は経済的な理由で、行くことができないケースが多いのです。DPのスコアで、日本の大学に入れるようにすることも大きな課題でした。  続き・・・


 

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