
アップルの中枢を知る男
「この職場に来るのが、毎日楽しみなんですよ。大好きなんです、ここが」
ほとんど日本人と変わらない流ちょうな日本語で、ダグラス・ウェバーは言った。そこは福岡県糸島市の海沿いにある彼のオフィスで、時折、外から「コケコッコー」とにぎやかな鳴き声がする。ミニサッカーができそうな広々とした敷地のなかで、鶏が放し飼いされているのだ。
2年前に空き工場を買い取り、DIYしたというダイニングスペースは、サンフランシスコやニューヨークにあるリノベーションカフェのように洗練されている。一方、併設する工房には使い込まれた様子のさまざまな工作機械が置かれている。いわゆる、モノづくりの現場だ。