CA1981 - グローバル時代の学校図書館 ―国際バカロレアからの示唆― / 高松美紀!!

グローバル時代の学校図書館 ―国際バカロレアからの示唆― 

東京都立国際高等学校:高松美紀(たかまつみき) 

1. はじめに

 初等中等教育におけるグローバル人材育成のモデルとして、国際バカロレア(International Baccalaureate:IB)が注目されている(1)。IBはスイス・ジュネーブに本部を置く、国際バカロレア機構(International Baccalaureate Organization:IBO)が提供する国際的な教育プログラムである。2020年6月現在、国際バカロレアの認定校(以下「IB校」)の数は世界158以上の国・地域において約5,000校、日本では83校であり、近年急激な拡大を見せている(2)

 日本における普及・拡大の背景には、IBが外国語運用能力の習得や海外の大学への進学に有利であるというだけでなく、21世紀型の汎用的学習スキルの育成として有効なプログラムであるという期待がある。文部科学省は、「国際バカロレアの趣旨のカリキュラムは、思考力・判断力・表現力等の育成をはじめ学習指導要領が目指す『生きる力』の育成」、「課題発見・解決能力や論理的思考力、コミュニケーション能力等重要能力・スキルの確実な修得に資する」(3)として、2013年から国内の学校教育法第1条に規定されている学校、いわゆる「一条校」への導入を推進している。

 このIBにおいて、学校図書館は重要な役割をもつ。IBは、児童・生徒中心や探究的な学びを基盤にし、教科横断的な学びや概念化、学びの転移を重視するが、こうした学びの実現に学校図書館が不可欠なのである。日本でも2018年からの新学習指導要領(CA1934参照)において「探究」が強調され、学校図書館については「学校の情報化の中枢的機能を担っていく」ことが早くから明示されてきた(4)。しかし、その取り組みは十分に進展しておらず、21世紀型の学びに対応するためには、学校図書館の改善が喫緊の課題といえる。

 そこで本稿では、IB校の学校図書館の特徴を検討し、日本の学校図書館への示唆を得ることを試みる。

2. IBOの資料からみる図書館とライブラリアンの役割

2.1. プログラムの認定と評価

 IBでは4つのプログラム(表)を実施しているが、IB校の認可を受けるためには、IBO発行の『プログラムの基準と実践要綱』に示される、施設やカリキュラム、教職員や組織等の条件を満たす必要がある。学校図書館については、「図書館、マルチメディア、およびリソースが、プログラムの実施において中心的役割を果たすこと」と明記されているが(5)、施設面積や蔵書数、ライブラリアン(6)の資格等についての明確な規定は示していない。これは、各国での規定が異なることや、各学校の事情に応じるためと考えられる。

続き・・・

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