批判的思考を育む授業!!

今朝の日経新聞ウェブに「教員養成,現場の創造性高めよ 批判的な見方が必要」という記事が出ています。語り手は,常葉大学の紅林伸幸教授です。滋賀大学におられたかと思うのですが,移られたのですね。

 それはさておき,教員志望の学生を対象とした,紅林教授の調査結果が紹介されています。同一の対象を追跡したパネル調査にて,1年生と4年生の学びや意識を比較しています。4年生になると現場と結びついた実践的なことを学んでいる学生の率が高まる一方で,社会問題や政治・選挙への関心は薄まるとのこと。

 前者の知見は想像できますが,後者の知見は驚きです。4年間の教職課程において,教員に必要な力量を身につける,凝った言い回しをすると「教職的社会化」を遂げるのですが,それは従順に飼い慣らされる過程でもあるんだなあと。

 最近の教職課程では,授業の技術に加え,トラブルへの対処や保護者との付き合い方など,いわゆる「ハウツー」に重きが置かれると聞きます。早い段階から実習の機会も用意されるのですが,紅林教授によると,そのことが「未熟な自分と経験豊かな優れた教師」というフレームを形成し,学生は物言わぬ従順な教師へと仕向けられるのだそうです。

 自由奔放な思想や行動が許される学生の時期までもが,今の教職課程では,学校現場の色に染められてしまうと。風変わりなことや批判めいたことを言うと嫌われますので,社会に対する学生の関心,批判意識が薄れるというのも道理です。教職課程の学生の読書時間は,普通の学生より低いなんていう現実もあるかもですね(忙しいという要因を引いても)。

 こういう学生が教員採用試験を突破し,学校現場にやってきたらどうなるか。教育委員会や管理職にしたら,まあ扱いやすい存在でしょうが,今の現場に新風を吹き込む創造性なんて持たないでしょうし,今の社会の問題について子どもたちに熱く語るなんてこともないでしょう。学習指導要領では重要とされている「批判的思考」を育む授業も,望むべくもありません。

 それはデータで裏付けられます。OECDの国際教員調査「TALIS 2018」では,授業において批判的思考を促すことがどれほどあるか,と問うています(対象は中学校教員)。選択肢は4つですが,最も強い肯定の回答「A lot(しばしばする)」の回答比率は,日本は3.1%,海を隔てたアメリカは33.6%です。スゴイ差ですね。

 主要国について,4つの回答の分布を出すと以下のごとし。個票データから独自に集計して作図しました。ドイツは調査に参加してません。

続き・・・

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