埼玉県の学力調査はなぜ世界から注目されるのか?(1)子どもの成長を「見える化」!!

★子どもの成長を「見える化
伊藤 「埼玉県学力・学習状況調査」(以下、埼玉県学調)は教育界のみならず企業からも注目を集めています。導入に携わった大根田さんに、まずその特徴についてお尋ねします。

大根田 二〇一五年から始めて本年四月で五回目になりますが、端的にいうと子どもの成長を「見える化」する調査です。五〇メートル走を例にすると、七・五秒が目標タイムだとした時、八・五秒のAさんが一生懸命練習して七・六秒に縮めたとします。目標からするとAさんはクリアしていませんが、Aさんの成長に光を当てたい、そこが教育の本質ではないかという思いがありました。
 子どもの成長を「見える化」するために、第一に同じ子どもを追いかけること、第二に試験の難易度という“物差し”をそろえました。
 それまでは、小学校五年生と中学校二年生に対して、毎年調査を行っていました。これですと同年度内での結果比較となるため、経年的な成長を把握できません。
 今は小四から中三までの六年間、約三〇万人を対象としています。同じ子どもを追いかけることで、本人も先生も成長ぶりが分かるわけです。

伊藤 どういう手法で、テストの難易度をそろえているのですか?

大根田 PISA(OECDによる国際的な学習到達度調査)や、TOEFL等で使われている「項目反応理論(IRT:Item Response Theo-ry)」というテスト理論を用いています。日本国内では埼玉県が初めて導入しました。広島県福山市や福島県などが同じ手法を導入し、全国に拡大しています。

★現場の誤解と反発
中室 子どもの学力を数字で測ることについて、抵抗のある教員も少なくないのではないでしょうか。

大根田 導入当初と比べれば、現場の理解は進んできましたが、まだまだ浸透を図る努力をしなければならないと思っています。
 近年、よくEBPM(Evidence Based Policy Making)と、その基になるデータの重要性が指摘されますが、現場にはそもそも教育はデータで全ては分からない、長期で検証すべきものという想いが根強くあります。

続き・・・

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