哲学を求める時代?

ここ数年、私は「哲学対話」という活動を通して様々なところに関わってきた。哲学対話とは、子どもたちの思考力を養うために70年代にアメリカで始まった「子どものための哲学」に由来する。それは、哲学者の思想を教えたり抽象的な問題について議論したりするのではなく、各人が一人で思索にふけるのでもない。身近な問いから出発して、グループで一緒に問い、考え、話をしていくものである。中学校以上が一般的だが、小学校や幼稚園で行われることもある。いずれにせよ、共に話すことを通して共同で思考を広げ、深めていくのが哲学対話である。

哲学対話がどういうもので、たんなる対話とどこが違うのか、ここで詳しくは述べられないが(齋藤元紀編『連続講義 現代日本の四つの危機 哲学からの挑戦』(講談社選書メチエ)に所収の拙論「対話としての哲学の射程」を参照)、とりわけ重要なのは、「何を言ってもいい」「否定的なことは言わない」というルールである―何を言ってもいいからこそ、思考に広がりと深まりが出てきて、対話が哲学的になる。

続き・・・

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